9.11の後遺症(PTSD)の人々に役立つスパ(綜合健康センター)

 

ニューヨーク「ダウンタウン・エキスプレス」紙/2005年3月25−31日号

(執筆:ナンシー・リアードン)


 (写真の説明文)

「キラ・ソウリアーさんからサウンドヒーリング(体感音響療法)を受けているのは、バッテリ・パーク・シティーに住んでいるアイザック・エイダさん。9.11のトラウマ(PTSD)に苦しむダウンタウン地区の住民は、スパにて無償で治療を受ける事ができる。」



グラマーシー公園地区にあるホリスティック・ヘルスセンターでは、9.11の影響からいまだ苦しんでいる警察官と消防士、そして悲劇の起こった時にカナル通り以南に居住していた人々に無料の治療サービスを提供している。

23番通りに面した、3番街とレキシントン街の間にあるオリーブ・リーフ・ホールネス・センター(Olive Leaf Wholeness Center)では、今年2月からオリーブ・リリーフ・プロジェクト(Olive Re-Leaf Project)[1]を開始した。対象条件を満たすニューヨーク市民であれば、先着250名までが健康診断、診察、そして6週間から6ヶ月に及ぶ個別の治療プログラムを受けることができる。

「まだ助けを必要としている人々の中には、自分たちの現状を恥ずかいことだと感じている人たちもいます」とオリーブ・リーフの創設者であるクレア・ハガ・アルトマン氏は言う。「彼らは、(事件から何年も経っているのに)自分たちが苦情を訴え続けているのは、自分たちの忍耐力が欠如しているせいではないかと思っているのです。しかし、もし彼らが悪夢やフラッシュバック[2]に苦しみ続けているならば、無理やり我慢などせずに、必要な助けをすぐに求めるべきです。当センターは、幅広いサービスを提供することにより、そういった患者がより強く、より健康になれるよう努めています。」

このセンターでは、血液を検査したり、血圧を測ったりする西洋医学的なサービスと、鍼(はり)やサウンド・ヒーリング(体感音響療法)といった補完代替医療的なサービスを行っている。

「センターの患者の多くは、世界貿易センター(World Trade Center)現場周辺にて重金属汚染の被害を受けているため、呼吸器や皮膚の疾患に対する治療を受けます」とアルトマン氏は述べる。

また、マッサージ、鍼治療、水分補給点滴[3]といった治療法は、患者の自然治癒力を促進し、患者をトラウマから解放するのに有効である、とアルトマン氏は指摘する。

中でも、オリーブ・リーフが提供しているサービスの一つであるサウンド・ヒーリングは、アメリカの健康施設やスパでは未だ導入例が少ない最先端の補完医療法だそうだ。このサウンドヒーリングは、日本から輸入された音の響きを身体に伝える機器(ヒーリングバイブレーション)を使い、ヘッドフォンを装着している患者の身体のすみずみまで音波が行き渡るようにする。サウンド・ヒーリングの理論は、水が氷結するときの現象を基にしている。調和的な音を響かせた水を凍らせると、できあがる氷の結晶は美しい模様[4]になるそうだ。人体も75%は水で構成されているため、同じ原理が成り立ち、調和的な音を体感音響振動にして身体に響かせることにより、体内の水分をきれにし、細胞に構造的な変化をもたらし、強化できるという。

アルトマン氏は、重金属汚染の被害を受けた患者にサウンド・ヒーリングを試みている。実際、化学療法を受けている癌患者の副作用軽減にサウンド・ヒーリング(体感音響療法)が効果を発揮し、薦める医師も増えているそうだ。

同時多発テロ事件当時、インディペンデンス・プラザ・ノース[5]に住んでいたサンドラ・マッコイさん(59歳)もサウンド・ヒーリングの被験者である。彼女は、サウンド・ヒーリングに惚れこんでおり、そのリラックス効果に満足している。「信じられないほど素晴らしい体験でした。(サウンド・ヒーリングを受けたあとは)感動のあまり、言葉が出てこないほどでした。」

マッコイさんと彼女の13歳の娘であるジャスミン・ワシントンさんは、二人ともリリーフ・プロジェクトの参加者である。「(このプログラムは)私たち親子の健康回復のために本当に役立っています。これ以上、言葉で表すことなんて出来ません。まず、(プログラムの)治療法を心から信じて、受ける気になることが大事だと思います」とマッコイさんは語る。

いまだインディペンデンス・プラザ・ノースに住むマッコイさんによれば、オリーブ・リーフの医師や療法士は、彼女や娘が以前診てもらった医療専門家たちとは段違いの時間や手間を掛けて彼女たちの治療に当たったそうである。「(オリーブ・リーフの医師や療法士は)しっかりと話を聞いてくれるのです。そして、医師たちは時間を惜しまずに、十分な時間をかけて治療法の説明をしてくれるのです。多くの実例を見せて説明してくれるので治療の内容がわかりやすいです。常にスケジュールに追われている他の病院の医師たちとは全く違います」

実は、マッコイさん親子にはセンターでの治療を一時あきらめた経緯がある。9.11直後にオリーブ・リーフ・ホールネス・センターを訪ねてきたのであるが、健康保険が適用されない治療が多いため、医療費を捻出することが出来なかったからだ。しかし、彼女たちは、最近になってオリーブ・リリーフ・プロジェクトのマネージャーであるボブ・カレリー氏から一つの通知を受けとった。無償で治療を受けられるという朗報であった。

米国赤十字社のリバーティー災害救済基金から45万ドルがオリーブ・リリーフ・プロジェクトに提供されたためである。米国赤十字社は、9.11直後から基金の一部を健康センターや地域団体の長期的な回復努力を援助する費用に割り当ててきた。

「9.11によって放出された(物質的、及び精神的な)毒素により苦しんでいる人がまだまだいるんだと、時が経つにつれて明らかになってきたのです」とカレリー氏は述べる。「当センターを訪れた警察官や消防士が人生の希望を取り戻していく姿を見ると、口では言い表せない気持ちが込み上げてきます。彼らは、ここにきて初めて、これまでモヤモヤしていた正体と対峙することになります。相談できる相手もいなかった彼らは、ここに来て希望を見つけだし、(その喜びで)泣き出してしまうのです。これほど感動的なことはありません」

一般的な身体検査では見つからなかった病気の原因も、ホリスティック・ヘルスのアプローチを採用することにより診断できた事例が多い、とアルトマン氏は言う。例えば、オリーブ・リーフの医師は、マッコイさんの肝臓に障害を見つけたが、ニューヨーク市にある大手病院の(従来型の医療を行っている)医師たちは全く気づかなかったそうだ。

オリーブ・リーフ・ホールネス・センターが9.11の影響に苦しむ人々の救済に乗り出すのは、今回が初めてではない。例えば、事件の起きた2001年には、400人のボランティアを募り、救命士たちやダウンタウン地区の住民にマッサージ・サービスを無償提供している。また、カレリー氏によれば、その秋には1万4千人を治療し、事件後の数週間は、280人の警察官に毎晩夕食を提供したとの事である。同時に、同センターは15万ドルもの寄付金を集めている。

2003年、同センターは、ニューヨーク・タイムズ社からオリーブ・リリーフ・プロジェクトの前身となる試験的プログラムのための少額の寄付金を受けた。「この試験的プログラムがあまりにも成功したので、もっと広範囲の人々に同様のサービスを提供するよう要望されたのです」とカレリー氏は言う。

同センターが無償で行っている治療は、あと200人が受けることができる。

9.11当日、カナル通り以南に滞在していた警察官、消防士、救命士、及び住民なら誰でも無償治療を受ける対象条件を満たしている。無償治療プログラムの参加申込書は、同センターのウェブサイト(www.oliveleafwholenesscenter.com)からダウンロードできる。また、同センター(145 E. 23rd St.)の窓口や電話(212-477-0405/担当:カレリー氏)でも入手できる。


[1] 「Re-Leaf」は「救済(Relief)」と同センター名の「リーフ(Leaf)」を掛けている。

[2] 過去の出来事を思い出すこと。

[3] 静脈注射により身体に水分を補給する方法。

[4] 例えば、典型的な六角形の雪輪文。

[5] 現場に近いダウンタウン地区にある。